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言わずと知れたラテンアメリカを代表する作家のガルシア・マルケスさんですが、いつか代表作の『百年の孤独』を読もうと思いながら、新潮文庫で刊行されるまでは辛抱しているケチなわたしです。
この本は150頁程度の短い話ですが、抑えた筆致で淡々と書かれているんですが、読んでいる最中も時々うーんと唸ってしまいました。後書きによると、マルケスさんはこの作品を自身の最高作品と言っていたそうですが、確かに作者がやりたいと思うことが、この作品ではすべて出来たという満足感が伝わってくるような感じがします。
複数の視点から折り重ねるように重層的に描写していて、描かれている時制も行ったり来たりと複雑に絡み合っており、読み終わってすぐまた冒頭から読み返してしまうような本です。
ところでこの本の装丁が素敵だなぁと思って調べてみたら、ベルギーの近代絵画の巨匠のジェームズ・アンソールの『仮面の中の自画像(1899年)』(メナード美術館収蔵)という作品でした。物語のイメージと合っていてとてもいいですね。