この作品は著者の29才のときの処女作で、8年がかりで完成させたとのこと。
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文庫本の上下巻で900頁超の大作でした。冒頭で登場人物のうちのひとりが殺される話が描かれるので、何となくその後の話の予測がつくのですが、緩急を上手につけながらぐいぐいと物語の中に読者を引きずり込んでいくところが、20代とは思えない筆力に思いました。あとギリシアの文学についての深い教養にも。
この辺の寄り道を楽しめるか、冗長と感じてしまうかで、この作品に対する評価は分かれるように思いますが、最後まで読んでみて、思わずうーんと唸らされてしまったので、私としてはこの大作をとても面白く読了しました。
ところでドナ・タートさんはものすごく寡作でかつ作品はどれも大作みたいです。今年中に『ゴールド・フィンチ』というこれまた超大作が翻訳出版されるとのことですし、この先しばらく日本でも話題になるかもしれないですね。