この作品は1997年6月に刊行されています。『推定無罪』ですっかり魅了されてしまい、スコット・トゥローさんの作品は発売される都度すぐに読んでいましたが、この作品だけはどういうわけか、ずっと積ん読の状態で長らく放置していました。
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今年に入って、というか2月にぎっくり腰になって以来、走るためのエネルギーがそのまま読書へのエネルギーに変換されてしまったようで、積ん読の本をかたっぱしから片付けていってますが、本日を持ってスコット・トゥローさんの作品はすべて読むことができました。
物語はもちろん法廷もので、現在の1995年と若い人たちの間にベトナム戦争の反戦機運が非常に高まっていた1970年を行ったり来たりしながら、主人公たちの25年間の隙間を埋めつつ進んでいきます。当時は反社会的な運動に身を染めていた主人公たちも、今ではそれぞれ一定の世間的な地位を確立していますが、その心持ちは若い頃と全然変わっておらず、関係性もずっと継続しているところなどは、主人公と同じ40代後半になった自分には、頷けるところも多かったです。
昔の恋人とヨリを戻しかけそうになるところで、「これまでの人生を軽蔑してはいけない。結ばれた家族がいないというふりをしてはいけない。べつの人生を歩めたかもしれない、だが現実にはできたかったんだ」と過去の判断を尊重して現実に戻ろうとする主人公の女性のセリフにはグッときましたねぇ〜。
20年近くも放置していましたが、ようやくこういう作品も堪能できる年齢になったということで、めでたしめでたしと…。