研究一筋の真面目な水産学者のものにイエメンの富豪からイエメンで鮭釣りをするための協力依頼が来るところから物語は始まります。
もちろん、けんもほろろに断るのだけど、首相官邸が票集めのネタに興味を示したりと、気がつくとこの壮大なプロジェクトに巻き込まれていきます。
また富豪と出会いその人間性に魅了され、すっかりプロジェクトを推進していくという…何とも面白い展開でした。
Eメールや日記、議事録、未刊行の自伝など様々な文書を持って来る工夫も上手く、著者は59才の超遅咲きの新人作家ですが、完成度の高く円熟した筆運びの印象すら感じます。
プロジェクトを通じて、主人公の水産学者の考えや行動がどんどん変わっていくところがこの物語の肝ですね。信じることを信じるられるようになること、というフレーズにはグッときました。
ほんとなかなかいい本だったなあ。