失意泰然・得意淡然の徒然日記

フルマラソン完走目指して始めた練習のことや、食べたもの、読んで面白かった本、大好きな将棋のことなど取り留めなく書いていきます。

読書

『ホテル・ニューハンプシャー』ジョン・アーヴィング

もう20年くらいの積ん読していた本ですが、ようやく読了しました。上下巻で800頁もの大作でした。ひとことでは言えないような内容です。家族の物語が軸にありますが、父の夢、ホモの長男、愛し合う姉弟、小人症で作家になる次女、熊の着ぐるみを着ている女性…

『「これからの世界」で働く君たちへ』山元賢治

この人のことは社外の知り合いの人から教えていただきました。飾らない言葉で表現されていますが、自分の考えを整理するのにとても役立ちました。アップルの社長経験者だけあってスティーブ・ジョブズさんがよく出てきます。ひとつだけ紹介すると、未来は先…

『特捜部Q-吊るされた少女』ユッシ・エーズラ・オールスン

ずっと楽しみにして刊行を待っていました。今回は第6作。相変わらず人物造形が巧みで、登場人物が生き生きと描かれていました。今回は登場人物が少ない印象がありますが、その分濃密でした。ところで、物語の舞台となったボーンホルム島をネット検索したので…

『現実を視よ』柳井正

古本屋で見つけて読みました。柳井さんの本は『一勝九敗』を読んで以来でしたが、困ったら国が何とかしてくれると考えるような、ぬるま湯に浸かっている国民に対する憤りが強く伝わってきました。夢を見て志を高く持ちがむしゃらに行動していく、そんなこと…

『チェルノブイリの祈り』スベトラーナ・アレクシエービッチ

本年にノーベル文学賞受賞者の代表作です。チェルノブイリ原発事故の被害者の声を丹念に拾ったドキュメンタリーと簡単に言ってしまうにはあまりにも重たい内容でした。事故そのものよりも、事故によってどういう風に人生や考え方が変わってしまったのかを重…

『ラオスにいったい何があるというんですか』村上春樹

村上春樹さんの紀行文集です。10篇からなっています。基本的に年代順ですが、結構昔に書かれたものもあるので、なんとなく文体が変わっているような気もして、その辺の変化も楽しめました。アイスランドとフィンランドに訪れた話が面白く読めました。アイス…

『さむけ』ロス・マクドナルド

たまにはミステリーものを読もうと思って、積ん読本の中から選んだのがこれ。登場人物が多く現在だけでなく過去にと、しょうし読み辛かったですが、どうにか読了。暗い雰囲気で哀愁漂う感じの話でした。話は変わりますが1976年刊行で文庫本のフォントも小さ…

『ハーバードからの贈り物』デイジー・ウェイドマン

ハーバードの教授が最終講義で、学生に対してこれからの人生に対するアドバイスをするのは恒例となっているそうですが、この本は自身もハーバード大学に通っていた方が企画して、教授陣を説得して出版にこぎつけたものです。15名の教授がいろいろ含蓄のある…

『姿なきテロリスト』リチャード・フラナガン

オーストラリア人の書いた小説って考えてみたら初めてでした。リチャード・フラナガンさんは2014年『奥の細道』で英ブッカー賞受賞で知りましたが、さすがにまだ邦訳はないし英語版では最後までたどり着かないので、邦訳の出ている別の本書を読んでみること…

『プロフェッショナルの戦略交渉術』隅田浩司

若手の部下に参考になるところがあればと思ってAmazonの古本を買いました。交渉では、論理的に考える、合意の意味を確かめる、戦略的にマネジメントするの3つの原則が大事とありました。合意の意味を考えるためには事前準備が重要で、 ①相関図を描く ②ミッ…

『HHhH プラハ1942年』ローラン・ビネ

今まで読んだ中でいちばん作者が文中に出てくる小説でした。舞台は第二次大戦中のプラハ。ナチスの高官、金髪の野獣と称されるラインハルト・ハイドリヒと、彼を暗殺するために送り込まれた二人の人物を描いた物語ですが、まぎれもない歴史的な史実と小説の…

再読『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』村上春樹。今年のちょうど110作品目になります。

つい最近『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』という本を読んで、いたく感動したので、そういえばこの本にもタイトルに巡礼という言葉が入っていたなと思い、久しぶりに再読しました。大まかな話の流れはもちろん覚えていたけど、細かい部分は結構…

『グローバリズム出ずる処の殺人者より』アラヴィンド・アディガ

著者はこのデビュー作で世界最高の権威を持つ文学賞、ブッカー賞を受賞しています。使用人の主人公が、主人を殺し経営者となり成功していく様子を中国の温家宝首相に口述して説明するという筋立てです。今年に入ってインドものを何冊か読みましたが、インド…

『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』レイチェル・ジョイス

なんともすごい小説があったものです。ずしりと重いものが身体の中に残ったような読後感でした。 Instagram表紙をめくったところにイギリスの地図があり、これだけの距離を巡礼の旅する話かーと、軽い感じの話と思ったのですが、いい意味で予想を裏切られま…

『笑いと忘却の書』ミラン・クンデラ

今年に入ってミラン・クンデラさんの3冊目の読了です。 Instagram この本はなんとも説明の難しい形をとった小説です。7章からなってますが各章ごとに主人公が違うので短編集とも言えるし、文中に著者自身が出てきたりと、自由な書きぶりで、この辺はミラン…

『スタンフォードの自分を変える教室』再読。ケリー・マクゴニガル

古本屋やアマゾンで中古本をしょっちゅう購入するので、定期的に本の棚卸しをして残す本と処分する本の入替をしていますが、珍しくこの本はちゃんと本屋で買い、またいつか再読するかもと残していました。 Instagram先日、紀伊国屋書店に立ち寄ったら文庫本…

『周期律-元素追想』プーリモ・レーヴィ

この本も20年くらい積ん読していましたが、ようやく読む気になりました。 Instagram 著者はイタリア系ユダヤ人でアウシュビッツに収容されましたが、奇跡的に生還した経験を持つ化学者です。本書は21章からなり、各章には鉄やウラニウムなどの元素がタイトル…

『ヴァレンタインズ』オラフ・オラフソン

うーむ、こんな作家がいたのかと正直驚きました。 Instagram 著者はアイスランド出身で、サラリーマンでもあるみたいです。タイトルに1月から12月までとついた12編の短編集で、どの作品も熟年夫婦のやりとりが綴られています。短い文章なのに情景が自然とイ…

『「基軸は人」を貫いて』井上礼之

良いタイトルの本だなとずっと前から思ってましたが、なかなか読む機会がありませんでした。 Instagram 日経新聞に連載された私の履歴書が第1部、第2部は経営論ですが、わたしには第1部が断然面白かったです。無断欠勤や希望していない部署ばかりだっだと、…

『どんどん決めてどんどん動け』吉越浩一郎

たまたま古本屋で見つけて久しぶりに吉越さんの本を読みました。元トリンプの社長で、早朝会議やデッドラインなどいろんな工夫を行って、社長在籍期間中、増収増益を継続させた名経営者のひとりです。 Instagram 吉越さんの著作は多いけど、どれも同じ内容に…

『督促OL修行日記』榎本まみ

長らく読みたいと思ってました、この本。 Instagramさあーっと読めましたが、なかなか味わいがありまた奥行きのある本でした。キャッシングの督促業務なんて想像するだけで大変そうな仕事です。実際に著者の周りの人たちも次々に辞めていきます。著者自身も…

『ミネルヴァのふくろうは日暮れて飛び立つ』ジョナサン・ラブ

タイトルと装丁に惹かれて古本屋さんで手に取り、本日読了。700頁近くの大作でした。 Instagram 内容は国家を転覆させようとする大掛かりな陰謀を、国家機関に属する訓練された優秀な女性とこれまた優秀で若い大学教授のふたりが協力しあって阻止するという…

『まるで天使のような』マーガレット・ミラー

旅行中に1冊だけ持ってきてましたが、今朝読了。 Instagram マーガレット・ミラーさんの作品は初めて読みましたが、この本は新訳でごく最近発行されたものです。Amazonのおすすめの中にあり知った次第です。これが女性の書いた物語かと思うほど正統的なハー…

『グアヴァ園は大騒ぎ』キラン・デサイ

なんといっても装丁が楽しい。本の内容を反映しているような趣きですが、イメージに反して内容はまともな文学(というのも変ですが)でした。 Instagram うだるような暑さ、埃っぽい街、いいかげんな人たちと、主人公じゃなくても憂鬱で気が変になってしまいそ…

『瘦我慢の精神 福沢諭吉「丁丑公論」「瘦我慢の説」を読む』萩原延壽、藤田省三共著

蔵書の整理をしていたらたまたま見つけたのが本書。 Instagram 自分では絶対に買わない内容なので、何故この本を持っているのかしばらく考えてましたが、多分会社の先輩から読むようにと渡されたのをしばらく失念していたように思います。ただこれもそうかな…

『ジェラルドのゲーム』スティーヴン・キング

読むものがなくて困ったときの、じゃないですが、古本屋で安く売ってるとついつい手に取ってしまうスティーヴン・キング。 Instagram この話は季節はずれの別荘に来た夫婦ものです。夫が心臓発作で急死するのですが運の悪いことに妻がベットに手錠で繋がった…

『悲しみを聴く石』アティーク・ラヒーミー

この人はアフガニスタン人でフランスに亡命した作家です。少し前にヤスミナ・カドラの『カブールの燕たち』を読んで、中東情勢を背景にした男女の物語の凄さにびっくりして、この本もいつか読もうと思っていました。 Instagram 最近読んだ本の中では短く、設…

『職業としての小説家』村上春樹

この本が出るのをこの夏ずっと楽しみにしていました。村上春樹さんの小説を初めて読んだのは高校1年のときです。『風の歌を聴け』を読んで、ものすごく衝撃を受けたことを今でもよく覚えています。それから今に至るまで愛読しているのでかれこれ32年くらいの…

『優雅なハリネズミ』ミュリエル・バルベリ

この本は少し前に早川書房の単行本を読んだとき、巻末のところに紹介されていたので知った次第です。 Instagram 知性があるのにそれを隠して高級アパートの管理人として暮らす主人公の中年女性と、自殺願望のある少女が、引っ越してきた日本人紳士との交流を…

『日本一社員がしあわせな会社のヘンなきまり』山田昭男

職場の人からすすめられて読みましたが、恥ずかしながら未来工業のことは、この本を読むまで知りませんでした。 Instagram 著者の山田明男さんは未来工業の創業者で、この本の出版時点では相談役でしたが、残念ながら昨年ご逝去されています。もちろんそのこ…